円高トレンドから一転し、円安基調が大半を占める

311震災(東日本大震災)が起きたことで外国為替市場の見通しはどうなるのか?外国為替部ではFXディラーは、顧客が今、どのように市場を見ているのかを緊急調査を実施した。

ドル円相場「約9割が円安トレンドへの反転を予想」

震災前までのドル円の動きはどうだったんでしょうか?

 

2007年6月から2011年3月に至るまで、ほぼ一貫した円高トレンドだったと言えます(図表1)。 2007年7月のサブプライムローン危機、2008年9月のリーマン・ショックを乗り切るため、各国が利下げによる金融緩和政策を行い、日本と海外の金利差が縮小。円キャリートレードの巻き戻しが起こり、円高トレンドが続いていました。 2010年には新興国を中心として世界経済の緩やかな回復が見られましたが、米国は景気回復には程遠く、10月には米連邦準備理事会(FRB)による追加金融緩和政策として量的金融緩和第2弾(QE2)が実施されたことで、ドル安・円高に拍車がかかりました。

 

為替相場図表1

 

震災が起きたことでトレンどが変わったのでしょうか?

 

今回の顧客調査からわかるように、多くの市場参加者が今後はベース水準(85円)から円安を予想しています。平均予想値は1ドル87.9円。なかには1ドル98.0円を予想する顧客もいました。1ヵ月前に同じ調査を行っていたらかなり異なる結果になっていたでしょう。

 

震災直後の3月17日に76.25円をつけてから、協調介入により一転して80円台を回復したため、直近では円安トレントに反転したかのようにも見えます。ただ、2007年からのドル円のチャートを見ると、足元(4月8日時点)のレートはまだ長期トレントラインの下ですが、円高トレントから円安トレントに変わる可能性のある微妙な水準でもあります。

 

顧客はなぜ円安と見ているのでしょうか?

 

円安を予測する主な理由は、大きくは@QE2終了の利上げによる金利差拡大、A震災による日本経済の低迷に集約することができるでしょう(図表2)。

 

為替相場図表2

 

金利差拡大による円キャリートレードの復活や、米国の景気回復による円安は、2007年6月以前の状況に戻るようにも見えます。ただし、その時とは違い、震災により日本経済が低迷し、貿易黒字縮小が起きることも円安を予想する要因となっているようです。ただし顧客の約3割は1ドル85円より円高を予想しています。 QE2の終了やFF金利の上げがささやかれているものの、早期には行われないのではないかと予想しているからでしょう。

 

引用:http://www.cms-forex.com/

ユーロドル相場「約6割の顧客がドル高ユーロ安を予想」

ユーロドルの動きでもドル高の予想が多いですね。

 

ドル円ほどではありませんが、対ユーロでもドル高傾向が見受けられました。 2011年末の平均予想は1ユーロ1.3720ドルで基準値1ユーロ1.4300ドルよりユーロ安と答えた回答者は63%になりました。ただ、意外だったのがユーロ高ドル安を予想した16人中15人はドル高円安を予想。つまり、かなりのユーロ高円安と考えていることです。その15人は平均1ユーロ134.90円と予想。3割が1ユーロ140円以上の円安と見ています(ドル円と掛け合わせて算出したレート)。

 

ちなみに全体の平均予想は1ユーロ120.65円で、基準値(121.55円)よりも円安と答えたのが19人、円高見通しが24人で、ドル円の見通しより比較的均等にわかれました。欧州ではいち早く利上げを行ったことから金利差拡大による円安を予想するものの、欧州各国の財政問題がくすぶっており、逆に円高を予想する人もいたものと考えられます。

円安・円高の理由

円安の理由
QE2の終了
米国の利上げ
内外金利差の拡大
震災による日本経済の低迷
日本国債発行の増加
米国景気回復
円キャリートレードの復活
貿易黒字縮小
ファンドの円売り、日本株売り
協調介入による下値の限定
オバマ政権ドル高への変更
日本企業によるクロスボーダ+M&Aの増加
原発問題から化石燃料への回帰を手掛かりに資源国通貨買い

 

円高の理由
日本での復興資金需要の増大
グローバル経済の予想以上の縮小
復興需要など思惑的に動くのみで円高基調
米国の出口戦略に対する市場期待の剥落

将来、日本の金融市場にとって最大の課題

金融危機によるジャパン・プレミアムの再発
低金利政策からの脱却
財政赤字・債務残高の拡大
震災復興、内需拡大の資金調達
蕎政治的に不安定な状況
個人レベルでの金融知識が未成熟
人口減少
市場参加者、市場プラットフォーム両面で成長戦略の欠如
アジアの中でのプレゼンスの低下
真に必要な産業セクタ一に金融機関が資金をまわさない
貿易赤字の定着
対外投資の減少を融資できるか
復興金融公庫のような国策銀行の復活が必要
個人所得収支減少→経常赤字
年金問題(団塊の世代が65歳超となり、いずれGPIFなど年金基金の国債売り)
今後景気後退局面が来た時の日銀が取れる金融政策の手段の少なさ

悪い金利上昇懸念
為替市場における円の地位低下
証券税制